人間は不思議なもので、何かを始めるときにはあれほど情熱を燃やしていたのに、いつの間にか、その存在すら忘れてしまうことがある。
ブラック目醒ラボにも、そんな忘れられた場所があった。かつて活動の拠点にしようと設置したWordPress。記事を12本ほど投稿したところで更新が止まり、気づけば半年もの時間が過ぎていた。
久しぶりに管理画面を開いてみると、以前の記事もカテゴリーも当時のまま残されていた。人間の都合など知る由もなく、黙って主人の帰りを待ち続けていたようにも見える。
もちろん、WordPressに忠誠心があるわけではない。ただ放置されていただけの話なのに、こうして再会すると少し申し訳ない気持ちになるのだから、人間の想像力もなかなか勝手なもの。
忘れられた場所にも、役割は残っている
現在のブラック目醒ラボでは、noteを中心にFXの戦略分析や学習コンテンツを発信しながら、AIを使った実験やツール開発にも取り組んでいる。
ReplayTrainerの開発、AIによるトレード戦略の検討、新しいWebサイトの制作。思いついたことを試しているうちに、活動の範囲は当初の想像よりもずいぶん広がってきた。
完成した作品や研究成果は表に出せる。けれど、その裏側で繰り返された試行錯誤や、思わず頭を抱えた失敗は、案外どこにも残っていない。
成功した結果だけを並べれば、何もかも順調に進んでいるように見える。実際の制作現場は、そんなに行儀のよい場所ではないのに。
一つの問題を解決した途端、別の問題が顔を出す。ようやく思いどおりになったと思えば、余計なところまで変わってしまう。AIとの共同作業も例外ではなく、その能力に感心した数分後には、融通の利かなさに呆れていることもある。
完成したものが表舞台なら、試行錯誤の積み重なる場所は舞台裏。観客からは見えなくても、そこでの出来事がなければ作品は生まれない。
そんな舞台裏にこそ、記録する価値があるように思えた。
そこで思い出したのが、半年間眠っていたWordPressだった。
知識がないことは、何もできない理由になるのか
ここで一つ困ったことがある。
WordPressについて、運営者はそれほど詳しくない。記事を投稿する程度ならともかく、テーマの構造やPHP、サーバーの設定となると、途端に未知の領域が広がってしまう。
以前なら、専門書を開くか、詳しい人に依頼するか、あるいは面倒になって再び放置するか。そのあたりが現実的な選択肢だったかもしれない。
けれど、今は以前とは事情が違う。
ChatGPTがあり、プログラムの制作や修正を任せられるCodexもある。人間が長い時間をかけて身につけてきた技術の一部を、AIの力を借りて扱える時代になった。
そこで、少し天邪鬼な疑問が浮かんできた。
何かを作るためには、その作り方をすべて知っていなければならないのだろうか。
いや、この問い方では答えを先回りしてしまう。
そもそも、何かを作りたいという意思と、それを実現する技術を持っていることは、必ずしも同じではない。
建築家が自分ですべての釘を打つわけではないように、Webサイトを作りたい人が、すべてのコードを自分の指で書かなければならない理由もないはず。
もちろん、知識が不要になるわけではない。AIが出力したものを理解も確認もせず使えば、便利な道具が厄介な事故の原因に変わることもある。
求められる能力の重心が、作業そのものから、目的を考え、結果を判断し、必要な修正を見極めることへ移っていくのかもしれない。
そんな可能性を、自分自身の制作活動で確かめてみたくなった。
どうせ蘇らせるなら、別人になるくらいに
最初は、既存のWordPressを少し整えて、お知らせを投稿できるようにする程度でもよいと思っていた。
ところが、考え始めると欲が出てくる。
せっかく復活させるのなら、どこにでもあるブログでは物足りない。ブラック目醒ラボらしい世界観を持たせたいし、モルアゥナや黒猫にも登場してほしい。
既存テーマを調整するくらいなら、専用のオリジナルテーマを作ってしまうのも悪くない。さらに、サーバーへのアップロードやWordPressの設定までCodexに任せられないかと、構想は勝手に膨らんでいく。
欲望とは実に厄介なもので、小さな改修のつもりが、いつの間にか全面改装を企てている。
それでも、今回試してみたいのは、単に見栄えのよいサイトを作ることだけではない。
これまで専門知識や外注費用が必要だった作業を、一人の人間がAIと協力することで、どこまで実現できるのか。その可能性と限界を確かめる実験でもある。
専門業者に依頼する以上のものを作れるかもしれない。そんな期待が簡単に叶うとは限らないけれど、試してもいないうちから諦める理由も見当たらない。
半年間の沈黙を破る、小さな実験
こうして、死に体だったWordPressの蘇生計画が動き始めた。
最初から完成までの道筋が見えているわけではないし、途中でどんな問題が待っているのかも分からない。AIが優秀だからといって、こちらの思いを何も言わずに理解してくれるわけでもない。
それでも、頭の中には作りたいサイトの姿がぼんやりと浮かんでいる。
明るい窓辺に座る黒猫。机に向かうモルアゥナ。表に出る作品の裏側で、日々何が起きているのかを静かに記録する、小さな研究室のような場所。
技術がなくても、想像することはできる。想像したものを形にする手段が増えたのなら、その可能性に手を伸ばしてみたい。
半年間止まっていた時計を、もう一度動かしてみよう。
もっとも、眠っていたWordPress自身は、まさかここまで大がかりな手術を受けることになるとは思ってもいなかったはず。長い眠りから目覚めた途端、全身改造を宣告されるのだから、少々気の毒な話かもしれない。
まずはChatGPTに、頭の中にある理想のサイトを描いてもらうところから始める。
次回 #1|ChatGPTに理想のWordPressを描かせてみた
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